2015年5月27日に豊中で隣人が殺害される事件が起きた。
この事件も「子供がドアを叩く」とか「水道メーターの音がうるさい」と言っている所からすると、「音」による「騒音トラブル」が原因と思われる。
この騒音トラブルは、意外と殺人事件などの重大事件に発展し易い。
そして何より、騒音を口にする人の多くは精神疾患の可能性があるといっても過言ではない。
そこで騒音トラブルと精神疾患と殺人事件の関係性について書こうと思う。
まず騒音に関してだが、誰もが同様に騒音と感じる様なものは別として、他者には気にもならない程の音を「騒音」と言う人は、その時点で脳の損傷が疑われるのだ。
参考になるのは、脳卒中を経験した脳科学者「ジル・ボルティー・テーラー」の証言だ。
脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりする事で、脳細胞に栄養が行き渡らなくなり脳細胞が死滅して行く病気である。
その脳卒中になった「ジル・ボルティー・テーラー」がその時の様子を語っているのだが、その中に騒音トラブルに関係する証言が含まれている。
彼女は「シャワーの音がまるで滝の様な轟音に聞こえた」と語っている。
これと同じ様な現象が、被害妄想や精神疾患を持つ者にも起きている事は経験上知っていたが、双極性障害を発症した後輩とのやり取りである程度詳細な所まで分かっている。
聞こえている音のレベルだが、す通の声で電話で話をすると頭が割れるほど声が響き、ヒソヒソ話程度の声ですら耳が痛いと言う。
声が出るかでないか暗い声でやっと会話が出来たほどだ。
その聴覚過敏も一定ではなく、精神状態によって変化する。
精神が不安定になると酷くなり、精神状態が安定して暫くすると改善される。
強いストレスを感じている時ほど強く症状が出るので、何に対してストレスを感じているのか探りやすい面もある。
さて、これらの例から、脳卒中と双極性障害などの精神疾患で、同じ聴覚過敏の症状が起きている事が分かると思う。
その発症メカニズムに違いは有るのか?と言えば、原理的に発症メカニズムは同じである。
精神疾患の原因とされるストレスは、糖質で出来ており継続して分泌され続けると、血流が悪くなり脳細胞胞へ栄養が行き渡らなくなる。
そして脳卒中と同じ様に脳細胞が死滅したり、衰弱する事によって発生する症状が精神疾患である。
違いは急速に死滅して行くか、徐々にダメージを蓄積して行くかの違いしかない。
そして、自分の持つ被害妄想がストレスを生み出し、ストレスと被害妄想の相乗効果で脳細胞へのダメージは深刻な物となって行く。
殺人に至る攻撃衝動はこのストレスから生み出される。
ストレスは脊椎動物が獲得した天敵から身を守る為の自己防衛システムである。
天敵から身を守るには主に二つの方法がある。
逃げるか、敵を蹴散らすかだ。
通常は天敵から逃げようとする衝動に駆られ、追い詰められれば衝動は闘争に向かう。
豊中の事件が殺人にまで発展した理由の一つに、エレベーターも関係していると思う。
エレベーターと言う個室に、ストーカー犯と思い込んでいる人と一緒にいる事は、逃げ場を失った状態でもあり、逃走か闘争の間で拮抗していた衝動が攻撃に傾いてしまった可能性が高い。
容疑者は「殺すつもりは無かった」と言っているが、ナイフを持ち被害者をナイフで刺した時点で殺意があると思えるのだが、恐らく本当に殺意は無かったのだと思う。
それは野性の動物を見れば分かる。
草食動物が天敵に襲われた時、殆どの場合逃げる。
その中で反撃する個体がいる。
しかし、全力で攻撃はしても捕食動物のように止めを刺す事はしない。
全力で攻撃して追い払う事に専念する。
この容疑者も同じだと思う。
ストーカーの犯人と思いこんでいる相手を全力で攻撃した結果、死に至らしめてしまったのだろう。
ナイフと言う凶器を持って全力で攻撃すれば死ぬ事は目に見えているのだが、脳細胞が死滅していたり衰弱していたりするので、衝動に突き動かされて自制する事は難しいだろう。
かと言って、精神疾患を理由に減刑する事には同意できない。
衝動に突き動かされたとは言え、罪の重さは重大過ぎる。
例えば集団ストーカーに狙われていると言っている人でも、それが妄想かもしれないと妄想を消そうと努力している人と、妄想に一直線の人がいる。
妄想かもしれないと、妄想を消そうと努力している人は応援したいと思うが、妄想一直線の人には同情も応援もしたいと思えない。
そもそも、普段からナイフを持ち歩き、自分の妄想で他者の命や幸せを奪った人に、情状の余地は無いと思う。
奪われた命、命を落とした人の未来、そしてその家族の悲しみやこれからの苦労、その償いは精神疾患の有無にかかわらず負わなければならないと思う。
例えるなら、街に出てきた熊は保護され山に返されても、人を襲った熊は事情はどうあれ殺される。