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騒音トラブルの実態
最近、生活騒音によるトラブルにまつわる刃傷沙汰の事件のニュースが絶えない。
生活騒音と聞けば、誰もが自分に思い当たる事を思い浮かべる事だろう。
もし、階下の人などから騒音がうるさいと文句を言われれば、思い当たる事があればとりあえず謝ってしまう事だろう。
逆に、隣室や隣家の生活音が気になったり、嫌がらせとも思えるような音や声が聞こえれば寝室や隣家にクレームを付けたくもなるだろう。
しかし、現実の問題は少し様相が異なる。
騒音の調査をしても、騒音と呼べる程の騒音が計測されない事が多く、声の録音をしても聞こえている声が録音されない事が多いのだ。
生活騒音の問題で騒音が測定されない場合、騒音の苦情を言う人には特徴がある。
それが「孤立化」「社会とのつながりの薄さ」「コミュニケーション力の低さ」である。
その為、一人暮らしの年配者、一人暮らしのフリーターやニート、一人暮らしの女性、一人暮らしの身体障害者などに多く見られる。
また、家族がいても家庭内で孤立感を抱いている人にも起きる。
その孤立化こそが生活騒音の原因なのだが、こんな事を書いても何の事だか分らないと思う。
詳しくは「幻聴や被害妄想は統合失調症特有の症状では無い」で書いているので、そちらを参照して欲しい。
若しくは「隣人クライシス」で詳しく書いているのでそちらも参照してほしい。
「とりあえず謝る」は問題をこじらせる
「生活騒音が煩い」と苦情を言われると、殆どの人が思い当たる事を思い浮かべ、「響いていたのかな?」と想い、事を丸く収めようとして、とりあえず謝ってしまう。
そして音を出さない様に注意するのだが、何度も苦情を言われ、その苦情がエスカレートする事も珍しくない。
その問題は「とりあえず謝る」と言う対応にある。
「とりあえず謝る」と言う対応は、相手からすると騒音を出している事を認めた事になる。
しかし、相手に聞こえているのは幻聴の類であって、実際の音では無い。
「とりあえず謝る」と言った対応をすれば、相手に音を出している事を確信させる事になり、どれ程音に気を使って生活しても、クレームが無くなる事は無く、逆にエスカレートさせる事となり、刃傷沙汰にまで発展する事さえある。
理由は簡単、何度注意しても音が聞こえ続ければ、嫌がらせの様に思えてしまうからだ。
聞こえている騒音の正体とは?
主な原因はストレスである。
最も多いのが神経過敏、取り分け聴覚過敏の人が多く、ストレス性の難聴から脳内爆発音症候群など、全てストレスを起因とした病気である。
神経過敏は些細な音が気になる神経症、それが聴覚過敏になると小さな音が大きな音に聞こえてしまうのだが、本人にはその自覚が無い。
こんな事例もある。
上の階の人が自分に合わせて移動して来ると言った物だ。
トイレに行けば自分に合わせるかの様にトイレに行き、台所に行けば台所で音を出され、風呂に行けば風呂に行く足音が聞えるなど、まるで自分の行動を把握されているかの様に、自分の部屋の行く先々で音が聞こえると言い、行動を把握されているので盗聴や盗撮で監視されていると言うのだ。
こうした事を訴えている人は意外と多い。
しかし、実際に調べてみるとそうした事実関係があった例が無い。
例えば、本人は音が聞こえるので上階の人がいると思っていても、実際には留守だったりする。
そんな時でも聞こえていたり、空室なのに聞えている人もいた。
では何故、そんな音が聞こえているのか?
最も多かったのが、通常は聞えない自分の足音の反響が聴覚過敏で別人の足音の様に聞えていたり、全く別の音が補完されて聞こえていたり、人によって色々なケースがある。
聴覚過敏は特定の音にだけ過敏な人もいれば、全体的に過敏な人もいる。
ストレス性の難聴では、低音の耳鳴りが聞こえ、それがモーターの音の様に聞こえるのだが、これも本人には難聴の自覚が無い。
その為、その耳鳴りを換気扇、掃除機、洗濯機などの生活騒音だと思っている場合が多い。
脳内爆発音症候群は、寝入り端に爆発音、破裂音、衝撃音などが聞こえる病気で、ドンドン、ドタドタと言う足音、ベッドや椅子から飛び降りる音、ドアや窓を強く閉める音、壁を叩く音、そうした生活騒音に聞こえていたりする。
脳内爆発音症候群の場合、寝入り端に聞こえるのでその音で目覚めてしまいイライラを募らせてしまう。
また、寝入り端に聞こえるという事は、聞こえている人からすれば「深夜の騒音」となる為、取り分け騒音と感じ易い。
これらの症状は、全てストレスが原因で発症するのだが、それは同時に継続的なストレスを受け続けていると言う事でもある。
その継続的ストレスが原因で発症するのが、うつ病を始めとする精神疾患である。
また、比較的女性に多いのだが、女性はクレーマー化し難く一人で悩む傾向を持ち、男性は女性よりも数的には少ないのだが、クレーマー化し易いので表面化し易い傾向がある。
その女性で最も多い原因が「更年期うつ病」で、40代~50代の女性に多発している。
更年期うつ病の場合、一人暮らしでなくても発症する。
この場合、他の更年期症状に目を向けて見る事が早期発見の鍵だ。
この女性の更年期うつ病拗らせると、統合失調症と区別が付かない言動となり誤診の元となってしまう。
更年期うつ病なら通常のホルモン治療だけで治るケースも少なくないが、悪化すると精神病薬が必要となり誤診されれば薬の副作用なのか、病気の症状なのかも分からなくなってしまうので、40~50代の女性で音や声が気になりだしたら、精神疾患ではなく先に更年期うつ病を疑った方がよい。
こうした原因で聞こえる音は、第三者がいると聞こえない事も珍しくは無い。
その理由は、原因がストレスだからである。
このストレスだが、環境の変化で受けやすい。
注意すべきが引越しである。
引越しは周りの環境が変わり、自覚の無いストレスに晒される事になる。
心の病気を抱えている人が、リフレッシュしようと引越しすれば、多大なストレスに晒される事になり悪化する事になりかねない。
また、注意すべきは「連鎖」である。
階下の人からの執拗なクレームはストレスとなり、クレームを受けた人に同様の症状が連鎖する事である。
ストレス故の怪現象
そもそもストレスとは、天敵から身を守るための防衛システムであり、一人でいるより誰かといる方が心強い。
その心強さがストレスを軽減させるので、一人でいる時に聞こえていても、誰かがいると聞こえなくなると言う現象を引き起こす。
その現象が、厄介な問題を引起す。
「他の人がいると音を出すのをやめる」と言う感覚を持ち、監視されている様な感覚を芽生えさせてしまうのだ。
そうなると、相手は「正義は我にあり」と言う感覚を持ち、クレーマー化すれば容赦が無くなる。
クレーマー化しなくても、恨みを抱くようになる。
また、自覚の無い幻聴として聞えているので、自分が移動するのに合わせて音も移動して来るように聞える。
その為、追跡妄想を抱き易くなる。
問題はまだまだ続く。
その人が音に耐えかねて引越ししたとする。
しかし、原因がストレスであれば引越しをしても音が聞こえ無くなる事は無い。
すると、「引っ越し先を調べ、引っ越し先の住人を使って嫌がらせをされる」と被害妄想を拡大させてしまい、恨み続ける事になってしまう。
またこんな問題も存在する。
音の存在を証言する証人がいるケースだ。
これが結構厄介、と言うより結構証人は困っていたりするのだ。
こんなケースがある。
神経過敏な人が、同席する人に「ほら、今音が聞こえたでしょう」と同意を求め、同席者が「何か聞こえたね」と答えると、それを根拠に証人にされる。
これは、聞こえている音のレベルの相違で起きる。
神経過敏な人が騒音に聞こえて同席者に同意を求めた時、同席者は小さな音でも「聞こえた」と言う事実で同意してしまう。
すると、何かある毎に証人として付き合わされる事になる。
これが夫婦で、奥さんが音声過敏で旦那が証人の場合、奥さんは旦那にクレームを言わせる傾向がある。
実際に有ったケースでは、奥さんと旦那の聞こえている音のレベルの違いを認識させた時点で、それまで奥さんの話に合わせていた旦那が掌を返したように、聞こえてもいないのに文句を言わされていた不満を奥さんにぶつけ始めた事もある。
また、こんな厄介なケースもある。
自分で騒音を録音したり騒音レベルを測定し、それを持て証拠とする人だ。
証拠を取る事は悪い事ではないのだが、測定方法を知らなければ自滅する。
色々な人から騒音の証拠としての録音を聞かせて貰ったのだが、正しい録音方法で録音された物は一つも無かった。
全ての録音は床やテーブル、家具などの上に直接録音機を置いた状態で録音され、大きな音として録音されていたのだが、それでは何の証拠にもならない。
例えば、テーブルや床に直接耳を当てて聞くと色々な振動が大きな音として聞える。
つまり、何所かに置いて録音すれば建物の振動が録音されてしまい、その振動が高音圧として録音されてしまうのだ。
それで騒音に確信を持ち、正義は割れにありで隣家にクレームを付けていたのだ。
しかし、そこに録音されている音の正体は、自分の足音だったり自分の部屋の冷蔵庫だったり、エアコンの振動だったりする。
更に厄介なのは、高音圧で録音されるのは単なる振動なので耳ではほとんど聞えない物も少なくない。
すると、音圧だけが高く、音として聞えないと「超音波」と言いだしたりもする。
そこに耳鳴りでも聞えていたら、耳鳴りを高音圧の超音波との確信を深めたりする。
こうなると、何を言っても聞く耳持たぬ状態になってしまう。
録音する場合、少なくとも天井からボイスレコーダーをゴム紐で吊るして録音するなど、振動の影響を排除する必要がある。
聞こえているのが「音」だけならまだ良い。
壁や天井から「悪口」や行動の実況、自分の声が復唱される様に聞こえている人も珍しくは無い。
その原因は脳の補完機能で、些細な音を声に認識していたり、自室から出る音の中に脳が勝手に自分の悪口を作り出してしまうのだ。
「集団ストーカーと言う被害妄想・・・・」ではそれを体験できる形で書いている。
この補完機能は、聴覚だけではなく視覚にも現れる。
元々ストレスとは外敵に襲われたときの防衛反応である。
その為、怪しいと思う物を探し始め、普段は気にならない事でも、少しでも怪しいと感じれば自分に関係しているかの様に感じてしまう。
つまり、疑心暗鬼の状態になってしまう。
この疑心暗鬼と言う言葉の語源が、ストレス状態にある人をそのまま表している。
その疑心暗鬼が、見える世界や感じる世界を補完させてしまう。
酷い場合は人の顔の区別が付かない人さえいる。
例えば、坂田利夫と松山千春の顔が同じに見えていたりする。
目立つ特徴から顔のイメージを補完してしまうのだ。
その為、街に出て自分に嫌がらせをしていると思っている人物と同じ特徴の人を見かけると、同じ顔に補完されてしまい、行く先々で待ち伏せされると思ってしまう事さえある。
そうした人達は、地域住民の嫌がらせ、組織的な嫌がらせを口にする。
そして、その人が自分に起きている事をネットで検索すると「集団ストーカー」や「ガスライティング」と言う言葉を使い始める。
また、ストレスは自律神経の乱れを招き体調不良を起す。
いわゆる自律神経失調症である。
ネットで集団ストーカーと言う言葉に出会ってしまうと、自律神経失調症が「加害行為」に思えてしまう。
最初に苦情を言われた時に「とりあえず謝る」と言う対応をしただけで、自分の知らない所で凶悪犯罪の親玉と思われ続け、自分の知らない所でネットに個人情報を晒されて、誹謗中傷されている事もある。
そうならない為には、最初から謝らず、第三者立会いの下で音の存在を明白にする事だ。
背景にあるのは無縁社会と学歴社会
人間は集団を形成する動物であり、集団を形成する動物の最大のメリットは気を抜く時間が作れることである。
一人で行動していれば、常に周囲を警戒せねばならず、気を抜いている時に天敵に襲われたら食べられてしまう。
集団でいれば、自分が気を抜いても他の誰かが警戒しているので、気を抜いても天敵に食べられる危険が少なくなる。
大切なのは「気を抜ける時間」だ。
警戒している時は神経を尖らせて周囲を警戒する。
それは自律神経の領分なので、意識とは無関係に働く。
孤立化した状態が正にそれ。
ご近所付き合いや友人関係、家族がいれば集団の中での気を抜ける時間が有るが、そうした繋がりが無ければ気を抜ける時間が無くなる。
それが継続したストレスであり、孤立化と神経過敏の関係である。
また、集団の仲間が信じられなければ、敵中に孤立しているのと変わらない。
故に、社会性は仲間を信じる事で成り立っている。
しかし仲間を「信じる」と言う事は、生半可な事で出来る訳では無い。
その原点は自分の生存であるので、動物にとって命がけの事なのだ。
それは人間も例外では無い。
信じようと思っても、信じるに至る過程を経ていなければ、意識とは無関係に警戒してしまう。
その過程は学ぶべき時期に学んで成長してこそ備わるのだが、学力ばかりを重視すれば学ぶべき時期に学べない。
一日は誰にも等しく24時間であり、その時間を勉強ばかりに費やせばコミュニケーション力を養う時間が削られる事になる。
幼年期は親子関係から学び、幼稚園や学校へ行く様になると友人関係との遊びの中から学ぶ。
しかし、塾や習い事で友人との遊ぶ時間が少なくなれば、他者への信頼や社会性を学ぶ機会が失われて行く。
教育の過熱は、人間としての成長を阻害する結果を招いてしまう。
その教育も、「人に迷惑を掛けないように」と教え、それがさも常識のように思っている人も多いだろう。
しかし、それでは社会性に欠かせない「お互い様」や「相互扶助」の感覚が育たない。
迷惑を掛けない事を心掛ければ、自分が迷惑と思う事が許せなくなてしまう。
それが無縁社会を生み、無縁社会は孤立感を生む、その孤立感が様々な社会問題の温床となっている。
そうした事を「被害妄想解体新書」で詳しく書いている。
問題は孤立感を感じているのが自律神経系である所にある。
自律神経は意思に関係なく働く。
意識としてはストレスを感じていなくても、本能はストレスを感じている事が多い。
その代表的なケースが引越しや旅行である。
旅行は意識的には楽しい事だが、本能的には知らない土地へ行くので警戒モードに入っている。
その警戒モードこそがストレス反応である。
家に帰ると「ホッ」とするのは、警戒が解けるからである。
引越しはその警戒モードが継続した状態になり、引っ越し先でのコミュニケーションが無ければ、意識に関係なく警戒モードが継続する事になる。
つまり継続的ストレスである。
継続的ストレスの先には、自律神経の乱れや神経過敏があり、その先には鬱病に代表される精神疾患が待ち受けている。
魚を使った実験では、継続したストレスが一ヶ月続くと魚でも鬱病になる事が分かっている。
騒音問題の一番の解決策
生活騒音の一番の解決策は、お互いにコミュニケーションを取り合い、仲良くなる事である。
人間はコミュニケーションを取っている相手には寛容になり、コミュニケーションを取っていない相手は警戒し容赦が無くなる。
本能的にコミュニケーションを取らない相手を警戒しているからこそ、無意識に神経を尖らせてしまう。
コミュニケーションを取る事で、警戒を解けば自ずと神経を尖らせる事は無くなり、気にならなくなる。
それが、昔は当たり前だった。